最近のXを見ていると、「サーム・ルール」という言葉がよく出てきます。特に、8月2日に発表された雇用統計が市場予想を下回ったことで、このルールに基づく景気悪化の懸念が高まっています。今回は、サーム・ルールについて詳しく説明し、今後の経済見通しについて考えてみましょう。
サーム・ルールとは?
端的に説明するならば、急な雇用の悪化をサインに景気悪化を判断する方法です。
サームルールは、アメリカの景気後退を予測するための経済指標で、元FRBエコノミストのクラウディア・サーム氏によって考案されました。
このルールは、失業率の3ヶ月移動平均が過去12ヶ月間の最低値から0.5%以上上昇した場合に、景気後退に突入したと判断するものです。サームルールは、景気後退の早期警告システムとして機能し、政策立案者や投資家にとって重要な情報を提供します。過去のデータに基づくと、この指標は米国の景気後退の初期段階でそのシグナルを発しており、その的中率は非常に高いとされています。
ただし、サーム氏自身も指摘しているように、このルールは過去の経験則に基づくものであり、将来も同様に機能するとは限らないため、他の経済指標や状況と併せて考慮する必要があります。
現在の状況と今後の見通し
8月2日に発表された米国の雇用統計は、いくつかの重要な指標で市場予想を下回りました。具体的には、非農業部門の雇用者数は前月比11万4千人増と市場予想の17万5千人増を大きく下回り、失業率は4.3%に上昇しました。
サーム・ルールの適用
サーム・ルールに基づくと、失業率の3ヶ月移動平均が過去12ヶ月の最低値から0.5%以上上昇した場合、景気後退の兆候とされます。今回のデータを基に計算すると、以下のようになります:
過去12ヶ月の最低失業率(A):3.6%
直近3ヶ月の失業率の平均(B):4.13%(5月4.0%、6月4.1%、7月4.3%)
この結果、B – A = 0.53%となり、サーム・ルールの基準を満たしています。つまり、現在の雇用状況は景気後退のリスクが高まっていることを示唆しています。
この結果を受けて、経済の先行きには不透明感が増しています。失業率の上昇は消費者信頼感の低下や消費支出の減少を引き起こし、さらなる景気悪化を招く可能性があります。一方で、他の経済指標や政策対応も考慮する必要があります。
私の方針
このような状況下で、私が取る対応策は「特別何もしない」です。具体的には、いつも通りのドルコスト平均法での買い付けを継続し、買い増しリバランスサインが点灯すれば対応するというスタンスを維持します。市場の短期的な変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資を続けていきます。
悩んでいることがあるとすれば、購入サインが点灯した際に初回からTQQQを購入するかどうかです。もしも次回の調整局面が、リセッションであるならば購入サインが短期間で複数回点灯する可能性が高くなります。不安定な局面に対してレバレッジ商品を持ち込むことはリスク管理の観点から適切な行為とは言い難いです。
株の暴落で精神的にダメージを受けている方へ:売却を検討している人への提案
株式市場の暴落は、投資家にとって非常にストレスフルな状況です。特に、精神的にダメージを受けていると感じる方も多いでしょう。今回は、そんな状況にある方への提案をまとめました。
適切なアセットアロケーションの重要性
まず、現在のポートフォリオが適切なアセットアロケーションになっているかを確認しましょう。アセットアロケーションとは、資産をどのように分散させるかを決めることです。株式100%のポートフォリオはリスクが高く、暴落時に大きなダメージを受けやすいです。
下落局面が辛く、売却を検討している方は適切なアセットアロケーションではない可能性が高いです。
また、株式は上げ下げを繰り返していくものであるという事実をこの機会に認識しましょう。おすすめは過去の株式の推移を10年単位で見てみることです。大きくは右肩上がりに見えますが、短期的には調整局面が存在しています。
債券やゴールドの重要性
株式だけでなく、債券やゴールドも保有することで、ポートフォリオのリスクを分散させることができます。具体的には、中長期国債やゴールドの投資信託が有効です。社債は株式と同じ値動きをしやすいため、おすすめしません。また、総合債券インデックスも社債や短期国債を含んでいるため、株式と相関しやすいです。
日本の国債について
現状、日本の国債は超低金利であり、これから利上げしていく方針です。そのため、日本の国債はあまりおすすめできません。
売却を検討している方へ
本来であれば、株式を売却せずにホールドするのが望ましいですが、精神的に苦しい場合は、勉強代と思って損切りし、債券やゴールドを含めたアセットアロケーションを再構築するのも一つの方法です。
人の意見を鵜吞みにせず、どの資産をどれくらい保有するかは必ず自分で考えることが重要です。自分のリスク許容度や投資目的に合ったポートフォリオを作成しましょう。
まとめ
サーム・ルールに基づくと、現在の経済状況は景気後退のリスクが高まっていると言えます。しかし、他の経済指標も考慮し、冷静に対応することが求められます。投資家としては、長期的な視点を持ち、計画的な投資を続けることが重要です。
この記事が、皆さんの投資判断の一助となれば幸いです。次回もお楽しみに!
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