「冬」──経済が減速し、金利が下がる季節。レイ・ダリオ氏の経済循環モデルや、私自身が投資判断の目安としている“金利と四季の対応”でも、この時期は長期債に追い風が吹くはず。
……のはずが。
現実のマーケットでは、長期金利は高止まり、場合によっては上昇する局面さえあり、私が保有する長期米国債ETF(TMF・EDV)は大きく値下がりしています。
それでも私は、買い増しをせず、保有を続けるという判断をしました。その背景には、「いまは本格的な冬の入り口であり、一時的な“春のような揺り戻し”が起きているだけ」という捉え方があります。
金利が下がらない“冬”という違和感
景気指標はたしかに、思ったより悪くありません。雇用も堅調、インフレもしぶとい。そうなると「金利はしばらく高いままでもいいのでは?」という観測が強まり、債券が売られるのは当然の流れとも言えます。
でも、それはあくまで“表層の元気さ”。その裏には、消費の鈍化、企業の在庫調整、財政赤字の拡大など、“寒さ”がじわじわと迫っているようにも見えます。
さらに個人的には、最近のトランプ政権による関税政策の二転三転が、市場の信頼を大きく損ねているとも感じています。短期的な思惑や政治的パフォーマンスが目立ちすぎており、かつて「最後の安全資産」とされた米国の信用が、徐々に目減りしている印象です。こうした政治的な不安定さも、長期金利に上昇圧力をかける一因となっているのかもしれません。
そして何よりも、たとえ今後、指標が悪化しリセッションに突入したとしても、本当に米国債が買われるのかどうかは正直わかりません。かつてのような「リセッション=米国債買い」の方程式が、今後も通用するかどうかは誰にも確信が持てない時代に入っていると感じます。
つまり、今は「冬本番の前に一時的に気温が上がったような状態」だと私は捉えています。
リバランス後の資金が、行き場を失う
今後、株やゴールドなどの資産を一部売却し、リバランスを行う予定があります。その際に生まれる余剰資金について、悩んでいるのが本記事の本題です。
私は、待機資金としてMMFを最大22%まで保有する方針を取っています。これは短期的な機動力を保つための“流動性の確保”です。
しかし、それを超える現金が生まれたとき── 何を買えばいいのか? それが今、私の中で大きな課題となっています。
そして個人的な本音としては、7月にリバランスを予定しているため、それまではどうか米国株が上昇していてほしいという願望もあります。もちろん、市場は思い通りには動きませんが、タイミングとして良い形でリバランスを迎えられるに越したことはないと感じています。
判断基準は「割安感」ではなく「アセットアロケーション」
正直に言うと、「今、どれが割安でどれが割高か」は私にはわかりません。だからこそ、自分の投資判断はあくまで“アセットアロケーション(資産配分)”に基づいています。
- 現在、株式の比率は適正
- ゴールドも調整済み
- 債券(特にレバレッジ型)は保有済み
このような状況で、アロケーション上は“特に不足している資産はない”。つまり、無理にどこかに資金を振り向けるよりも、
「何もしない」ことが最も合理的な選択肢
という結論に至りました。
レイ・ダリオの哲学が教えてくれたこと
レイ・ダリオ氏の投資哲学に出会ってから、私は「予測よりも分散」「タイミングよりも構造」を意識するようになりました。
どんな経済環境でも、それなりに機能するポートフォリオ。これが私の目指す形であり、その根幹をなすのが“アセットアロケーション”です。
今後、また株式が下がるかもしれない。 または金利が本格的に下がって、債券が息を吹き返すかもしれない。 その時に静かに動くためにも、今は焦らず「冬の本番」を待つ。
そうした姿勢が、長期投資ではもっとも大切なのだと、改めて感じています。
おわりに
「今、何を買うべきか」に迷う瞬間が来たとき、 「今、何を買わなくていいか」と冷静に考える。
それも、立派な投資判断のひとつです。
静かに、しかし戦略的に。 次の季節を待ちながら、投資家としての姿勢を磨いていきたいと思います。
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